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生活のゆとりで急成長

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2006年(平成18年)8月21日(月)日刊工業新聞掲載・中国の福祉・シルバー市場(第三弾)
レポート・楊軍(ヤン・ジュン)
海外窓口担当:国際マーケティングサービス「中国国際福祉博覧会」 (TEL03-3555-0555)

<<生活のゆとりで急成長>>
高齢者の旅行需要

専門部が続々

これまで高齢者の市場に見向きもしなかった中国の旅行業界が、ようやくその巨大市場の魅力に気づき、近頃熱を入れつつある。上海市の事例だ。05年まで、全市600余りの旅行社のうち、約100社が“銀髪路線”“万名老人遊”“敬老文化遊”など高齢者向けの旅行コースを開発し、、20社が高齢者専門の「老齢部」を設置した。高齢者専門の旅行会社も5.6社出てきた。最も都市住民の高齢化が進んでいる上海市では、高齢者人口が既に270万を突破し、2020年には更に30〜35%増える。すなわち3人に1人が高齢者になると予測されている。高齢者たちは旅行に強い関心を持ち、旅行会社のほか市町村主催の旅行も含め、参加者数は毎年10〜15%増えている。

人気の「渡り鳥式」

高齢者には時間がある。この特徴を利用し、上海市にある旅行会社は「渡り鳥式」旅行プランを考案した。中国領土の雄大さをうまく活用し、冬は海南島、夏はハルビンなどと渡り鳥の如く快適な気候を追う旅行プランで、人気を呼んでいる。各地方のホテルや旅館と連携してネットワークを作り、1ヶ月3950元(約6万円)という時間たっぷり、なおかつ低料金の高齢者レジャーとしている。この観光の実際の期間はせいぜい1週間で、他の時間は書画、将棋、読書、音楽、撮影などの趣味を海南市や三亜市の美しい浜辺、暖かい日ざしの下、のんびりと楽しめる。観光地は別荘地の役割も果たしているわけだ。
中国では高齢者福祉制度やシステムが改革の最中だが、現制度下で高齢者は、定年退職した翌月より元職場から退職金を毎月受領し、これが死亡するまで続いて、生活が保障される。最も裕福な広東省都市部の高齢者が受領する退職金額は月800元(約1万2000円)〜1500元(約2万3000円)が61%を占め、また、1500元以上が35%である。
また、「敬老愛老」という伝統観念により、多くの中国の子供は親に仕送りをする。高収入の現役世代にとっては親孝行に出金を惜しまない事が一種の自慢となっている。北京在住のある大学教授の定年後の夢は奥さんと水入らずで世界一周すること。このため毎年10万元(約150万円)を観光予算として貯金しているが、資金の出所は夫婦2人の退職金と、趣味の株売買で稼いだ小遣い、そして子供のサポートからだという。

海外旅行楽しむ

そんな裕福な高齢者は国内旅行だけではなく、好んで定期的な海外旅行を楽しむ。旅先での買い物も気前がいい。昨年、中国人の海外旅行中のショッピング支出は1人当たり987ドル(約10万円)で、世界最高だった。その3人に1人が高齢者である。
さらに、元職場が主催する「定年者感謝旅行」はもう一つの中国の特色といえよう。収益の良い企業や国家機関は「敬老」の意義を提唱、企業などの社会に対する責任(CSR)をアピールするため実施するところが珍しくない。
海外旅行は、香港・マカオ、東南アジア、またヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランドが人気がある。ほとんどの旅行会社では休暇シーズン以外のコース参加者は半数近くが高齢者だという。高齢者は混雑を避ける為オフシーズンを好む。旅行会社にとって高齢者の囲い込みは、繁忙期とオフシーズンの差を小さくできるメリットがある。日本の旅行業界も、中国の高齢者市場に断然、注目すべきである。

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中国高齢者旅行市場メモ
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有望な「朝陽産業」

政府国務院の直轄機構として高齢者政策づくりなどを担う全国老齢工作委員会の05年調査によると旅行者の年齢構成で高齢者の割合はほぼ各国とも6割程度でしかない。これは1億4400万人の高齢者人口、全国3兆2000億元の貯金総額の40%を占めている高齢者の経済力と対照的で、最近高齢者の旅行分野が「朝陽産業」と呼ばれ、将来の有望市場として着目されている。旅遊専門委員会の03年調査によると、とくに定年後、間もない「若い高齢者」たちは、ほとんど「旅行願望」を持つ。名山名水、古所旧跡、世界遺産など、体力と精神力が十分なうちに、計画をたてて定期的に旅行コースに参加する事は高齢者のあこがれだ。
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